米国出向者からメールが来るようになったのだけれども、それ以外にも知り合いがいたことを思い出しました。
何で今になって思い出したのかという理由が興味深くて、今回は彼のことを紹介させて頂くことにします。
学歴はない
先の米国出向者は大学を卒業し、英語もバリバリです。
技術者としても優れていて、そういうこともあって「お金を稼ぐことには興味がない」という流れのようです。
知的好奇心というヤツですか。カッコ良いですね。
しかし今回思い出した彼の最終学歴は、「高専」です。大学じゃありません。
素直で吸収力があるから、真面目に仕事をすれば課長さんにはなれる逸材。でも「高専」で部長は聞いたことがないです。
あ、言い忘れました。彼は同期で同じ工場に配属された男性です。
若い頃に英語を話せないのに、武者修行として米国へ派遣されました。
渡米したらいきなりレンタカーを渡され、現地スタッフに「俺の車について本社まで来い」と言われたとのこと。
日本から一緒にいった先輩は別なレンタカーを渡されたそうで、やむなく一人一台で本社まで移動。
「迷ったら本社を訪ねてドライブするなんて無理だし、必死でついていったよ」と、彼は笑って説明してくれました。
後になって現地スタッフは、彼が英語で「そんなの無理」とさえ言えないことを知り、大いに謝ったらしいです。
万事がこんな感じだったらしく、それらをヘラヘラと笑いながら乗り切ったところは見事です。
基本的にITエンジニアに必要なプログラミングの腕は一人前だったし、何よりも「まずやってみよう」という行動派。
そういう意味では現在の米国出向者とは対照的です。
ともかく「やってみよう」で動いてしまって、その結果を素直に吸収する訳です。
現地も日本側も驚くほどのスピードで成長して行きました。
で、成長し過ぎて会社には勿体ない人材となり、派遣先の会社へ転職してしまいました。
先の通りで課長止まりで平凡な生活を送るよりも、彼には似合っていたような気もします。
最初は部長も心配したけれども、最後は腹を括って転職先へ送り出したとのことです。
転職先から転職
米国ではよくあることですが、彼も転職先で5年くらい働いた後に、別な会社に転職しました。
今度もシリコンバレーの中だけれども、社員は100名を越えないスタートアップ(ベンチャー)企業。
もともと私も彼も基本ソフトウェア方面の関係者だったけれども、時代の流れでLinuxやWindowsに駆逐された訳です。
その頃には英語も達者になっており、子供も何人かいて家族ぐるみで米国生活していました。
ちなみに奥さんは入社した年に知り合った女性で、私も会ったことがあります。
あの頃はスキーツアーなどを企画し、大型バスを借りて泊りがけで旅行しました。その時に奥さんとも知り合いになりました。
私はそんなことなかったから、まあ甲斐性なしと言われても否定できません。
ともかく彼は、「行動する人」でした。だから奥さんとも知り合った訳です。
でも数年に一度は帰国して、同期入社のメンバーで集まっていました。
残念ながら私が日本に帰って来てからの渡米だったので、シリコンバレーでどんちゃん騒ぎする機会はなかったです。
おそらく今も、シリコンバレーの会社で仕事していることでしょう。
いや、もしかしたら仕事はしていても、飲み屋の親父さんをやっているかもしれない。
プログラミングの腕を磨いたといっても、それに捕らわれないのが、彼のチャームポイントだと思っています。
別にIT技術者というのに憧れも誇りもない。彼の奥さんも同じようなタイプ。
私もIT技術者には分類されるけれども、よくよく考えてみると鰻屋さん巡りをやったり、人には人の生き方があるという考えのようです。
同じ地球に住んでいて、同じように食料や水を摂取して、やがて老いて亡くなる訳です。
その時に他人に貢献してお金が貰えることをやっていれば、何をやっていても構わないんじゃないかという気がします。
ITベンダといっても、作ったものはファミコンとかゲームで使わることもあります。
お金儲けに専念するブロガーさんたちは、今風に表現を使うと立派なデータサイエンティストになる訳です。
Excelは使っているし、何しろGoogle広告に関係しているため、GoogleのBig Queryなんかも使いこなしています。
これ、どこからどう見てもデータサイエンティストです。ITエンジニアのように「作る」だけでしか出来ない人とは違います。
また数字を相手に売上を伸ばすべく奮闘する訳で、「見えないものを見る」という訓練もやっている訳です。
ここまで来ると認識論に近くなって来ますが、それはキチンと売上に結び付いています。
お金儲けに執着するから、ブレることがない。
話が少し逸れてしまったけれども、彼はお金というものの価値を知っており、職業にも固執しない。
かつて馬車の御者が自動車に駆逐されて転職するように、IT技術者も余剰になって別職へ転職することもあるでしょう。
本当に飲み屋の親父さんをやっていたら、彼はまさに先陣を切って別職へチャレンジした人になる訳です。
数学のゲーム理論だと、追い込まれる前に動いた方が利得は高くなります。
これ、人気よりも前に解散した方が有利な総理大臣とも同じです。
まとめ
さてどうして彼のことを思い出したのでしょうか。
ちょっと米国出向者のことで我が身を振り返ってみた訳ですが、考えてみると実際に転職した彼と私は行動派。
ある程度は考えるけれども、あとは動いて情報を得て、それを元にフィードバックしていく。
たしかに私も基本的に、「笑う人」です。ピンチになるほど、感心されるほど落ち着いていられる。
まあそんな彼だから、別に今の米国でも困っていることはないでしょう。
幸いメールアドレスは会社パソコンの中に残っているし、久しぶりにこちらから連絡を取ってみますか。
こちらもKindle本の出版というノウハウがあるし、お土産はそこそこ作り出せそうな気がします。
それでは今回は、この辺で。ではまた。
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記事作成:よつばせい