書評

【魔法のノート】魔法を存分に使うには、B5サイズが理想的である理由

こんにちは、四葉静です。

「メモの魔力」やヒツジ執事版「魔法のノート」の利用目的は、主に状況把握やプランニングとなります。

これらの用途には一定量のデータが必要で、さらに思考を展開させることもあります。

そうなると出来るだけ大きなスペースが理想的なのですけれども、そうすると取り扱いが面倒になります。

したがってバランスを考えると、理想的なサイズはB5(つまり普通の大学ノート)となります。

しかし前田裕二さんは私は、A5サイズ相当のノートを使うことが多いです。これはメモだと「相手」が存在するのでB5だと威圧感を与えてしまいます。

またPCと併用する場合、手元に確保できるスペースがA5相当になってしまうと事情があるためです。

今回は多目的に利用される「魔法のノート」で皆さんが最適なノートブックを選択しやすくなるように、ノートの大きさと使い方の具体例を紹介させて頂くことにします。

堀紘一氏の「魔法のノート」原始版

若い方はご存知ないかもしれませんが、堀紘一さんという方がいらっしゃいます。

彼は1945年に兵庫県に生まれ、東京大学法学部を卒業した後、ボストンコンサルティング(BCC)日本支社長を経て独立しました。

その堀氏ですが、PHP研究所の “「超」活用ノート” という雑誌で大判ノート活用方法を紹介しています。

彼は東大受験の際に模造紙を活用したことから分かるように、大きなスペースにアイディアをマップのように書き込むことが得意です。

また企業からの相談事を引き受けるコンサルティング会社のトップを務めただけあって、戦略や戦術を考える仕事が多いです。またそれと同時に、部下の育成も重視しています。

これらを纏めるには大きなスペースに書き込んでいくことが重要ということで、彼は冒頭画像のようなA4版ノートに行き着きました。

これよりも大きいと持ち運びに不便で、B5よりも小さいとアイディアが膨らんだ時に書く場所が無くなってしまうのだそうです。

書く場所が無くなって次のページに移動すると思考も切れてしまうし、「発想が小さくなってしまう」とのことです。

シンゴジラという映画でノートを貼り合わせて模造紙のように使う大学教授が登場しましたが、まさにイメージに合っていますでしょうか。

ちなみに堀氏の場合は意図的にノートを強調することも、部下の指導時には必要となります。このためサイズ的にはA4版で全く問題はありません。

なお私の30人程度の職場では、一人だけB5版大学ノートよりも一回り大きいA4版ノートを利用している部長さんがいます。

小柄な方なので、両手で抱えて持ち歩いているのが印象的です。

ちなみに堀氏のノートを原始版と表現するのは、彼はタイトルを真っ先に記入するという点が、論理学に基づいて開発された “The Pyramid Priciple” という技法によって定義される “タイトル” と一致するからです。

それからノートを使用する理由も、下記のように論理的根拠を明確にしているからです。

なお彼はリング版を推奨していますが、これはまさにシンゴジラの大学教授のように、必要な場合にはページを切り離して繋ぎ合わせることが可能であるためです。

またノートを見直した時にもアイディアを膨らませることができるように、1行おきに書き込むことを推奨しています。

それから先ほど紹介したように、ページの一番上にテーマと日付を記入することを必須としています。(場合によってはテーマ以降が白紙のページも存在するとのことです)

“物事をうまく進めるには、目的、戦略、ロードマップを明確にすること。それが具体的な戦術を作り、効果的なアクションを生むんです。的外れのアクションにしないために、ロードマップは理路整然としていないとダメ。それには考えを文字に落とし込むことが重要なんです”

前田裕二さんの「メモの魔力」

最近では前田裕二さんの「メモの魔力」が有名です。

ご本人は読みやすさを重視して論理学との関係性を明示していないようですが、Pyramid Principleの使い手からすると同系統の魔法だと位置付けることができます。

ただしPyramid Pricipleは副題が “Logic in writing and thinking” と、堀紘一氏のように「頭の中にあるアイディアの整理」や「論理的に表現すること」に重点が置かれています。

言い換えると、「答えは自分の中にある」ということで、それを整理してアウトプットすることに重点を置いています。

一方で「メモの魔力」は拡張版と呼べるもので、自分の中にはない外部データをキャッチすることにも適用しようとしています。

このように適用対象や整理の順番が、古典的名著で古式魔法とも呼べるPyramid Priciple(1960年代に考案)よりも、今風にアレンジされているとも言えます。

さてその「メモの魔力」ですが、前田裕二さんが著書「メモの魔力」や、インタビュー記事で使用しているのはB5版ノートです。

(厳密には「モレスキンのエクストラ・ラージ(XL)版ハードカバー クラッシックノート」というものですが、まあB5版と言えます)

そういえば前田裕二さんは寝る前に「秘密の部屋」に入り、メモで抽象化する作業において改善点を見出せないか、改めてチェックするのだそうです。

こういった使い方をする場合には、やはりメモ帳やノートは大きいに越したことはないでしょう。

Mikanお嬢様の魔法作文

さて “前田裕二オリジナル「メモの魔力」モレスキン クラッシックノート” が販売開始されました。ラージサイズなので、A5版ノートの横幅を若干短くした形状となります。

さっそく夏休みの作文宿題や日記作成に悩むMikanお嬢様に、「メモの魔力」を試行して頂きました。

結果としては「スゴく疲れた」とのことですが、なかなか良い日記の骨格を完成させることが出来ました。

ちなみに今回は、題材として夏休みに親友と行った「東芝未来科学館」を取り上げました。

本人とどのようにファクトに書き込むかを相談したら、「朝から起こった出来事を順番に書き込んでみる」とのことでした。

まだ学校で「論理」や「要約」を習い始めたばかりの段階のためか、生じたイベントを箇条書きで文字に落とし込むのに、小一時間はかかったと思います。(時計で測定すれば良かった!)

出来上がったのは、長い文章形式の箇条書きで、2ページに及ぶ “ファクト” です。

で、そこから幾つか気になった事柄を、”標題” にキーワードとして書き込んで貰いました。

そして「それってどういうこと(So What?)」という軸で、抽象化をやって貰いました。

そうやって「メモの魔力」を使って出来上がった骨格は、次のようなものです。

題名:お友達と遊びに行った未来科学館は、楽しい一方でストレスが溜まるものだった
概要:夏休みにお友達と川崎の未来科学館に行った。集合時間直前にママがトイレに籠ったりして、行く前からストレス溜まってしまった。川崎駅で降りた時はテンションMAXになったけど、お友達は科学館前の謎解きゲームに慣れていて全く歯が立たずに悔しかった。お昼を食べてから科学館に行ったけど、一見して面白そうな催しは長い待ち行列。諦めて空いているところ催しに参加したら、説明文を読んで謎解きするクイズするものだった。読書は私の得意分野で、ストレスもあってお友達があっけに取られるようなスピードで解いてしまった。それから手動扇風機(発電機?)みたいなものもあって、これも ”悔しさパワー” で圧倒的な差で回すことが出来た。これでちょっとスッキリしたけど、帰りは帰宅ラッシュの電車に乗ることになり、ヘロヘロになって終わった一日だった。ああ、疲れた。

Mikanお嬢様、あらためて自分がストレスを抱えていることに気付いたとのことです。

親としても初めて本人の心の動きが文章化された「まともな日記」となっており、あらためて「メモの魔力」って役立つ道具だなあと感心させられた次第です。

しかし今回は2ページになっても日記のシナリオ作成だったので影響は生じませんでしたが、本格的なものになると1ページに纏めたくなるかもしれません。

そういう意味では、引き続きB5サイズ大学ノートを使い続けた方が、技術的に良さげに感じられた次第です。

(Mikanお嬢様としては気持ち的には、デザインの良いモレスキンのオリジナル版ノートの方が気に入っているとのことです)

まとめ(大は小を兼ねない)

今回は以上です。

こうやってみると、当たり前のように見えるかもしれませんが、コンビニで販売されているB5サイズ大学ノートと同じサイズが、「魔法のノート」や「メモの魔力」には理想的なようです。

ただし前田裕二さんや私は、あちこち動き回ることが多いです。また仕事でキーボードを叩きながら、メモを取ることも多いです。こういった時には、A5サイズが使い勝手が良くて便利です。

「大は小を兼ねる」といけば良いのですが、メモ帳やノートブックは大幅に使い心地が変わってしまいます。

また幾つものノートを使い分けると同一テーマの場合には、幾つものノートを飛び回ることになります。

しかし私のようなコンサルタント的な仕事をする場合は、諦めて幾つものノートを使い分けた方が良さそうです。

さて皆さんの場合は、どうなりますでしょうか。

本エントリーが少しでもお役に立つことがあれば幸いです。

それでは、また。