野田岩の鰻重を日本橋高島屋の特別食堂を食べて感激した件

日本橋高島屋の特別食堂の野田岩

日本橋の高島屋の特別食堂で食べる野田岩の鰻重は最高でした。もちろん野田岩の鰻重は最高ですけど、高島屋にあることがポイントです。

先日の記事のように東京駅から徒歩数分で行けるので、全国のうなぎファンにとっても大変に訪問しやすい場所です。

https://bike-neko.com/?p=88/

今回はどうして野田岩と高島屋のマリアージュが最高なのか、恥を忍んで、自らの訪問記で説明させて頂くことにします。

気軽に行ける

先の記事で「あの壮麗で伝統ある高島屋の中にあると言ったのに、一体どこが気軽?」と思われるかもしれません。

おまけに8階の特別食堂は、赤いじゅうたんの敷かれた重厚な雰囲気です。普通に考えると気後れしてしまいます。

でも… あんなもの、ただの飾りです。最初はビックリするかもしれませんが、3分で慣れてしまいます。

エンジニアをやっていると、他のITベンダさんがホテルで開催するイベントに参加することも多いです。

そうやって考えると、高島屋の特別食堂って帝国ホテルも入っているし、逆にサラリーマンのホームグランドとも呼べる存在です。

さすがにTシャツで短パンでは、他のお客さんが不快に思うかもしれません。しかし私が数年前にイオンで購入した1,980円の長ズボンであれば、全く問題ないです。

それとウワサでは「70歳以上のお金持ちだけが使用する特別な場所」といった話もあるようですけれども、そんなウワサほどアテにならないものはありません。

実際、私は土曜日の12時ジャストに訪問した訳ですが、親子連れが何組もありました。小学生の低学年の子もいたので、我が家が家族全員で訪問しても「全然オッケー」です。

要はデカい声で大騒ぎしたりして、他のお客さんに迷惑をかけなければ良いのです。私たち善良なうなぎファンであれば、快適に食事することが出来ます。

待ち時間が快適

普通の鰻屋であれば、土曜日の12時に訪問するのは論外です。私の友人の中には12時を外したにも関わらず、鰻重を食べるまで、店外1時間 + 店内1時間 で2時間待ちした友人もいます。

それが特別食堂の場合は、「ただいま大変混雑しております。申し訳ありませんが、40分ほどお待ち頂けるでしょうか」です。有名な特別食堂だから2時間待ちも覚悟して私には、拍子抜けする話でした。

ちなみに特別食堂で待つことも可能ですけど、所在地は日本橋の高島屋本店です。建物の中に歴史博物館があるし、楽しめる場所は随所にあります。

もちろん百貨店なので、座って休めるイスも沢山あります。今回の私は高島屋ポイントカードを作りに来たので、あっという間に時間は過ぎ去ってしまいました。

(そうです。今回の主目的はカード作成です。鰻屋訪問は「ついで」なのです)

なお高島屋の店内には、おもちゃ屋さんなども入っています。けっこう庶民的な部分もあるのです。

おまけに2階にはモンブランのブティックが入っています。7階にはネスプレッソの直営店があります。なんだか知っている店のオンパレードです。

… 我が身を振り返ると、胸ポケットには黒、赤、緑のインクを入れたモンブランのボールペンが刺してあります。カバンの中には、恥ずかしくて隠しているダイヤモンド入りスターウォーカー(太軸)が待機しています。

メガネは訳あって軽くないとダメなので、リンドバーグのエアチタニウムです。カバンはノートで有名なモレスキンです。ネスプレッソのコーヒーマシンは最近使っていないけど、お風呂場の洗面所の下で眠っています。

軽く店内を散策してみましたけれども、豪華なブランドショップに圧倒されるというよりも、自分の過去の無駄遣いを反省させられるような気持ちになって来ます。

… つまり、なんだか自分が「成金趣味のおっさん」のような気がして、いたたまれなくなる店内散策でした。

(地下には本館のミニチュア模型もあるし、そういうところは大変に興味深いです)

野田岩の鰻重

さて40分待ちだけれども、30分で用事が全て終わってしまいました。少し早いですけれども、特別食堂へ戻ります。

特別食堂にはホテルのロビーのようなところがあって、そこで待つことになります。広々としており、座席も多いです。ここが鰻屋さんと決定的に異なります。

どんな鰻屋であっても、普通は数席しか待合席が確保されていません。一方で高島屋の日本橋店は採算を度外視して、顧客重視を貫いています。流石です。

で、座席が空くと、名前が呼ばれます。いよいよホテルのビュッフェのような赤じゅうたん床の食事場所に案内されます。なんでも164席あるとのことで、広々として気持ちが良いです。

初めて広間へ入る瞬間は少し緊張しますけど、そこは”ジョジョの奇妙な冒険”の波紋法でも”鬼滅の刃”の水の呼吸でも構わないので、ともかくゆったりと息をして、躓いたりしないように注意して歩きます。(どこが緊張していないって?>自分)

テーブルに座る時にはフランス料理のように、スタッフが椅子を動かして下さります。ここが最大の山場です。

この「テーブル席への着艦」さえクリアすれば、私のような者を除き、大抵の人は大丈夫でしょう。

テーブルは十分な大きさで、ゆったりとくつろげます。お茶は玉露ではありませんけど、テアニンの甘みがあります。抹茶入り最高煎茶とか、そういった類でしょうか。

高島屋の特別食堂

湯飲み?

任せて下さい。私は会社でもコーヒーカップを両手で湯飲みのように持って、周囲から爆笑された者です。この緑茶だけでも十分に楽しめます。

ちなみに特別食堂の入口ではマスクカバーを渡されます。一方向でなくて、二方向に切れ目が入っています。

このマスク入れは使いやすいです。同じウナギ専門店では、八十八の横浜NEWoman店だけが採用していました。このあたりは「流石は高島屋」といったところでしょうか。

おまけに肝心のうなぎに関しても、サプライズがありました。

私は養殖うなぎの松を頼んだのですが、「本日は岡山産の天然うなぎが入荷しております」と言われました。何と価格は養殖うなぎ変わりません。

… 今回の私は、特別食堂の鰻重のタレの味が、横浜の高島屋や本店の野田岩と同じかどうかをチェックするという任務で派遣されています。泣く泣く、養殖うなぎを注文しました。

(天然うなぎだと、普通は諭吉さん一人じゃ済みません。本当に残念です)

それにしてもスタッフによる天然うなぎの紹介は見事でした。

たとえ「新鮮なサンマが入荷しています」とサンマを勧められても、心がグラグラしたかもしれません。見事な話術です。

そういえば高島屋のポイントカードを失くして再作成した訳ですが、そこのスタッフも見事でした。もうこれ以上カードが増えると管理が面倒になるのでお断りしましたけど、クレジットカード機能付きカードにも心が揺れました。

高島屋のすごいところは、見た目の高級感よりも、こういったスタッフの方々の働きぶりです。私もITベンダのサービス部門を経験していますが、高島屋のスタッフは神レベルです。

一体どうやったら、このようなスタッフを育成できるのでしょうか。元責任者としては、羨ましい限りです。

そういえば肝心の鰻重が到着するのに、今回は10分を越えました。スタッフによるとウナギの注文が殺到していて、15分から20分お待ち頂く必要があるとのことでした。

あらかじめ一時間近くかけて蒸した鰻を用意しておき、注文したら焼くだけの野田岩方式にしては珍しいです。天然うなぎも入荷している昼食時間だし、なかなか職人さんも大変そうです。

"高島屋の特別食堂の野田岩

そしてやって来たのが、いつもの野田岩のお盆に乗った鰻重です。ウワサに聞く「箸休めの大根おろし」が加わっています。

重箱は相当くたびれています。塗装が剥げたりしている箇所はありませんけど、細かい引っかき傷が無数にあります。これことが「長年大切に使われた食器の重み」というところでしょうか。

山椒は横浜の野田岩と同じものが使われているようです。そういや町田の双葉という鰻屋でも、このような山椒の容器が使われていました。

私は山椒をかけてうなぎを食べることが滅多にないので、今まで山椒の容器を気にしたことがありませんでした。しかしこの容器、ハクション大魔王の壺みたいです。少し由来が気になります。

"高島屋の特別食堂の野田岩

ともかく、食事です。相変わらずうなぎとご飯が食べやすい熱さでホコホコしています。最初の一口が、一番シアワセな瞬間です。

うん、美味しいです。

おまけに横浜の野田岩では少しだけ気になっている小骨が、特別食堂の野田岩には全くありません。これが東京の野田岩のポリシーなのかは気になるところです。

うなぎの肉は、相変わらずフカフカです。ただしトロトロではありません。紙を食べているような感じです。

いや、不思議に思われるかもしれませんけど、「キシュッ」といった感じなのです。魚の肉で、このような調理が可能であることに驚きました。(私がなぜ紙を食べた食感を知っているかは、まあご愛敬で)

たしかに養殖うなぎを注文したのですが、天然うなぎがやって来たということでしょうか。実に不思議です。

もし忙しくて蒸し時間が長くなり過ぎたうなぎを使ったのであれば、脂が抜け落ち過ぎたバサバサうなぎになるだけでしょう。この食感は独特です。養殖うなぎにしても、並みのうなぎではないことが察せられます。

さて肝心のタレですけど、これは横浜の野田岩とは異なります。いや同じタレかもしれませんけど、使い方が違います。

横浜の野田岩の鰻重のタレは、醤油が先行して味醂(みりん)が付いてくるような感じです。それが特別食堂の鰻重では、醤油とタレが同時にやって来ます。もしかすると、焼く時にタレにつける回数が違うのかもしれません。

ともかく醤油も甘さも同時にやって来ます。味醂(みりん)の比率が違うというよりも、タレ自体が濃厚になっている感じなのです。それで甘さも十分に感じられる、友人好みの「甘みが強く感じられる味」に仕上がっているようです。

まあ細かい話はさておき、わざわざ食べに神奈川県の田舎からやって来た甲斐があるというものです。お米も美味しく、量も絶妙です。あっという間に鰻を食べ終わってしまいました。

大失敗

さてここで、今回最大の悲劇が発生します。

"高島屋の特別食堂の野田岩

はい、ご覧の通りで、テーブルクロスにご飯を落としてしまいました。鰻重に気を取られていたとはいえ、大失態です。

実は私、子供の頃は茶碗や重箱の奥の方から食べていたのだそうです。それは親の指導のおかげで手元から食べるようになった訳ですが、ずっと箸はクロスさせるような持ち方をしていました。

自分の箸使いが特殊なことに気づいたのは、会社の食堂で食事するようになった時のことです。今でも箸を使うのは得意ではありません。

そのため食べ方においても海原雄山のような奥さまからは、テーブルに近づいて、茶碗や重箱を手元に置いて食べるように指導されています。

ま、別に海原雄山でなくても、ぽろぽろとご飯粒を落とす者に対しては、当然の指導でしょう。それが今回は、裏目に出ました。

奥さまに躾けられたように重箱は手元に持ってきた訳ですが、肝心のお盆は動かしていなかったのです。

そして夢中になって我を忘れて食べている時に、「ご飯粒の悲劇」が発生した訳です。幾ら丁度良い具合になっているといっても、タレのかかったご飯です。

上質なテーブルクロスにシミが付いてしまった訳です。

ちなみに心の動揺を少しだけカバー出来なかったせいか、お新香もこぼしてしまいました。ただしこちらはお盆の上だったので、ギリギリでセーフといったところです。

でも… ここで開き直ってしまえるのが、ベテランの強みです。おそらくスタッフは気づいているでしょうけれども、大根おろしの箸休めを頂き、肝吸いも全て飲みます。

そういえば横浜の野田岩にはユズの切れ端が入っており、ユズが苦手な弟には辛い肝吸いでした。特別食堂の肝吸いは、ユズの香りがする程度だったので、もしかすると弟でも可能かもしれません。

まとめ

日本橋の高島屋の野田岩の鰻重、大変においしゅうございました。

そして「ご飯粒の悲劇」でテーブルクロスを汚してしまい、特別食堂に迷惑をかけたことは事実です。会計の時に、平謝りに謝ったことは言うまでもありません。

そういえば鰻屋の八十八の横浜NEWoman店ではスプーンも提供されていました。

特別食堂は野田岩だけでなく、帝国ホテルと三玄の三店舗が入っています。お願いすれば、スプーンをお願いすることも出来るでしょう。

と、いうことで、迷惑をおかけしたにも関わらず、また機会があったら食べに行こうと企んでいる次第です。

ともかく東京駅から徒歩数分という立地は、大変に便利です。

日本橋の高島屋には珍しいディスプレイも多いし、デートなどにも使えるでしょう。今回は友人が特別食堂の鰻重のタレに拘って派遣された訳ですが、なかなか収穫の多い鰻旅でした。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:よつばせい