鰻重に関するネットでの評価は当てにならないと実感した件
初めてのお店は、事前にネットで評価を調べるかと思います。
ただ私だけの偶然かもしれませんけれども、どうも鰻屋に関してはネット上の評判が当てになりません。
今回は「ふわふわで美味しい」という近所の鰻屋でテイクアウト(お持ち帰り)をした結果をレポートさせて頂くことにします。
最初は支度中
その鰻屋に最初に電話をしたのは、2020年9月24日(金)のことでした。
昨今のご時世で在宅勤務をしていたけれども、気分転換に鰻の蒲焼を食べたくなったのです。
(奥さんは外出中で、何とかする必要もあった)
会社では仕事をしていない時間は休憩時間と登録すれば良い規則になっています。幸い急ぎの仕事や会議の予定もなかったし、10時30分過ぎに電話してみました。
女性が電話口に出て、「父さんは外出中で戻らないわよ」が、その時の返事でした。
定休日は木曜日だけれども、都合で急に営業しない日もあるとネット上では紹介されています。そういうものなのかと思い、その人は電話を切りました。
次は満員御礼
さて翌日の9月25日(土)になり、やはり10時30分に電話をかけてみました。
「11時30分から12時あたりで『持ち帰り』を希望しているんですけど、どんな感じでしょうか」と、おそるおそる尋ねてみます。
「ダメ。もう一杯」
味もそっけもない返事です。しかし私も鰻重が食べたいし、静岡県吉田町産を自慢するウナギには興味があります。
「では何時頃だと大丈夫になりそうでしょうか」
「そうね、12時30分ね」
思った以上に早く都合が付くようです。
「あ、すいません。では12時30分で、1つだけ持ち帰りをお願いします」と、ほぼ計画通りに物事が進んだのでした。
いざ出陣
さて鰻重は安い食べ物ではありません。家計に負担を強いることになります。
「とーちゃん、出かけなくて大丈夫?」と、子供が心配するような、ギリギリの12時15分まで仕事をやってから外出支度を始めました。
ちょっとトイレで用を足して、自転車に乗ったのが12時20分です。計算では、12時30分ジャストに到着します。
が、トラブルとはこのような時に起こるものです。自転車の後輪から空気が抜けていました。
完全にペシャンコではないので、パンクではないようです。自動車F1レースの急遽ピットインというか、近所のスーパーの空気ポンプのところへ行きました。
幸い、誰もポンプを使っていませんでした。F1のピットクルーのように、手慣れた素早さで空気を入れます。約1分で、作業を完了しました。
「さあ事故を起こさないように、ゆっくり慌てて行こう!」と、再び自転車にまたがります。
自転車は緑の豊かな自転車・歩行者専用道路を走ります。なんとか目的地についたのは、5分遅れの12時35分でした。
鰻重をゲット
さてお店に着いた時には、ちょうど若い男女がお店から出て来るところでした。
前回散歩で通り過ぎた時は、若い男女がお店に入るところでした。その時には冗談で「若い者は金持ちだ」と書きましたけど、本当に最近の若者はお金に余裕があるのでしょうか。
(そうとは思えませんけど、もしそうだったら羨ましいです)
ともかく、初めてお店の中に入ってみました。なんかカウンター席しか見当たりません。もしかしたら別に個室があるのかもしれません。
とりあえずカウンターには誰もいません。持ち帰り弁当は、私の分(1人前)だけになっていました。ご主人は一仕事終わったようで、ゆっくりとくつろいでいます。
(… 12時30分でガラガラの店内、大丈夫だろうか)
このあたりから、なんとなく不吉な予感がし始めます。ただし予断や偏見は禁物です。お金を支払って、そそくさとお店を後にしました。
ちなみに冒頭画像の通りで、お店で食べると3,500円で、持ち帰りだと3,300円です。お店の混雑緩和としては妙案でしょう。それにキチンとした印刷物が安心感を取り戻してくれます。
(キチンとしたお店じゃないか。温かいうちに持ち帰ろう!)
もちろん事故を起こしてはいけません。
子供が自宅で鰻重を待っています。気分は雪の降る中を、10日連続で朝8時に出前したという野田岩五代目の金本さん(現在92歳)です。
小雨が降る中を、慎重に自転車を運転して帰りました。
鰻重を完食
さて帰りもトラブルを起こすことなく、無事に帰宅しました。
さっそく家族で集まって、期待の鰻重を検分します。
「なんか川魚の匂いがする」
出ました。口調はやさしいものの、評価内容は「美味しんぼ」海原雄山クラスの奥さんです。
「見た目がカッコ良くない」
子供も便乗して、厳しい評価を下します。たしかに「こんがりキツネ色」とは言えません。味醂(ミリン)の塗りが少ないのでしょうか。
ともかく、奥さんと子供に食べてみて貰いました。
結果は、「見た目と同じでちっとも美味しくない」でした。
子供は、「ちっともフワフワでない」と言います。
そして奥さんは、「なんだかスーパーのゴムうなぎに似た食感がする。タレも醤油っぽ過ぎてダメ」との宣告です。
まあ静岡県吉田町で天然うなぎ並みに育てられたら、たしかにゴムのような弾力を持ちやすいかもしれません。事実、しろむらの三河一色産にしても、超巨大な久助うなぎを購入した時は、ゴムのような弾力がありました。
で、二人が食べ終わったところで、私も食べてみました。
「…」
たしかに弾力があります。しかもこれは、「蒸し」が足りないことによる弾力です。しかし見ての通りで焼き方が十分でありません。だから関西風のパリパリ鰻にもなっていません。
静岡県から愛知県にかけて、関西風と関東風の双方を取り入れて、独特な焼き方をしているお店が多いです。しかしこれは両者の良いところを取り入れたというか、両者の悪いところが掛け合わさったような感じです。
問題は鰻の蒲焼(これを「かばやき」と呼んで良いのか?)だけではありません。
底面のご飯をひっくり返すと、ご飯はタレだらけになっていました。「かけ過ぎ」です。
ここまで酷いのは、鰻屋の看板を出しているお店では遭遇したことがありません。生まれて初めての体験と言えます。
ネットでの評価は良いのですけれども、しょせん田舎町に存在する「町の鰻屋」というのは、こんなものなのでしょうか。
そう考えると、若い人ばかり見かけたのも納得できます。まともな鰻重を食べたことがあれば、このような店に入ることはないでしょう。
唯一評価できるのでは、税込みで3,300円という価格と、「鰻屋で食事した」という満足感くらいでしょうか。
そういう訳で海原雄山… じゃなくて奥さまによる、「たとえ食べることのできる回数が半分に減っても、横浜の「しま村」青葉台店の鰻重が食べたい!」という判決が下ったのでした。
まとめ
ネットの評価というのは、当てにならないものです。
というか、失礼ながら店の前にキレイに掲げられていた「お持ち帰り看板」印刷物を見ると、なにやらネットの評価も店側が評価しているんじゃないかという気持ちにもなって来ます。
いずれにせよ、このお店と再び関係することはないでしょう。経営が今一つな八十八に従わざるを得ない職人やスタッフと異なり、職人が自由にできる環境なのに最悪レベルの鰻重です。
静岡県吉田町産という看板に偽りはないですけれども、こんな料理では貴重なウナギが気の毒というものです。
ただし最低レベルを低レベルに引き上げるのは、幾つであっても可能です。ぜひ今後の改善を期待したいです。
それでは今回は、この辺で。ではまた。
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記事作成:祐川学