ウナギの「しま村」横浜日吉高田本店は、期待通りに最高の鰻重
他よりも高い店ならば、相応に美味しい料理を期待できるでしょう。
そしてどんな料理店だって、普通は本店に最高のシェフを配置する気がします。
だいたい以上のような期待は裏切られることが多いのですが、鰻の「しま村」日吉高田本店では「最高の鰻重」を堪能することができました。
ただし残念ですけれども最後の結論通り、再訪することは無さそうです。
こちらはTVドラマのドクターXの神原名医紹介所のように、南千住の尾花などにも職人を派遣している野田屋調理師紹介所の職人が仕事をしているお店です。ミシュランでも一つ星を獲得しています。
そして飯島直子さんの行きつけのお店だそうで、ミーハー心も刺激されます。それでも再訪は無さそうです。
そこで今回は楽しい思い出を残しておくべく、鰻の「しま村」横浜日吉高田本店の訪問記を紹介させて頂くことにします。
まずは予約
その日はボロボロでした。
私は人間関係が苦手なのに、マンションの理事長をやっています。(それなのに小説まで書いていますけど、まあジャンルはSFですから)
その日は長期修繕計画の説明をやり、その後で理事会をやりました。お昼はとっくに過ぎており、普通ならば「おうちで『しろむら』か『川水』の冷凍ウナギ」です。
しかし本日は子供の模擬試験があって、昼飯を準備中でした。奥さんは「一口でいいから食べたい」と言うし、子供も「一口ちょーだい」と言います。
… いけません。危険過ぎます。
先日は誰かさんの「一口」で、見事に「一尾」が完全消失しました。そして奥さんは町田八十八に懲りて、「しろ村だけが、私にとっての鰻」と言い放っています。鰻専門の暴食ネズミが二匹もいる訳です。
そんな訳で最後の力を振り絞って、横浜の日吉にある「しま村」高田本店へ予約の電話を入れます。
「一人だけですけど、xx時に予約させて頂けますでしょうか」
一瞬の間を置いて、返事が返って来ました。
「あ、何とか大丈夫です」
「じゃ、鰻重の特上を一つお願いします!」
たぶん同じことを期待する客が多いのでしょう。今度の返事は(たぶん鰻の住んでいる川のように)サラサラとと流れるような感じでした。
「天然ものでは無くて養殖ものでしょうか」
「はい、(お金はないから)養殖ものでお願いします」
「お電話でご予約いただいても30分ほどお待ち頂くことになりますが、宜しいでしょうか」
「構いません」
気付くと、最後の気力を振り絞って電話していると言いながら、体は全速で出発間近の急行電車を目指して歩いています。
(道路で歩きながらの電話は止めましょう。道路では無いので電話をかけています)
ところで「電話予約すれば15分で済む」とかいう話も耳にしていましたが、上述のように、2020年9月5日(土)のお昼頃は無理でした。
私が馴染の客でないとか、土曜は昼休みなしの昼-夜ノンストップ営業というのもあるかもしれません。ただし来店と同時に鰻重が出来上がっているというのは、あまり期待しない方が良いかもしれません。
いざ本店へ
さてこちらから時間を指定したことだし、ともかく電車に乗り遅れることがないことを心がけ、「しま村」日吉高田本店を目指します。
同じ神奈川県民といっても、お袋さんの居住地と同じ横浜市内といっても、高田は新興の高級住宅街です。不慣れな土地であり、移動には注意を要します。
それに事情があるのでしょうけど、本店があるのは日吉駅付近じゃありません。いい加減な私は、うっかりと路線検索の最寄り駅を「日吉」で検索してしまうところでした。
ちなみに電車で行くと、最寄り駅は横浜市営地下鉄グリーンラインの高田駅となります。私も横浜市内在勤ですけれども、ようやく今回で人生2回目の乗車です。
東急東横線の日吉駅とJR横浜線の中山駅を結ぶ路線です。途中で交差するのは、同じく横浜市営地下鉄のブルーラインだけです。
第三京浜からも離れているし、横浜にある「陸の孤島」といったイメージです。とはいえ都内へは拙宅よりは近い訳で、新興住宅地として栄えるのも納得できます。(でも、うちは東京都から500mくらいの場所なんですよね)
ともかく、目指したのは「高田」駅です。到着すると、なんと駅校内の地図にも「しま村」が掲載されています。
この地図は撮影しておいて良かったです。おかげで今回は、予約時間の6分前に駅到着して、予約時間ジャストに入店できました。(つまり電車から降りて6分かかったということ)
ご覧のように日吉高田本店の入口は、横浜野田岩本店のように目立った存在ではありません。「えっ、ここが本当に入口?」という日本的な奥ゆかしさに満ち満ちています。注意が必要です。
話は逸れますが、横浜市営地下鉄の駅構内に掲載された地図は秀逸です。初めて訪問する場所は、この地図が役立つので撮影しておくと良いでしょう。おかげで入口を見逃さずに済みました。
(というか、自動車で来るお客さんが多いのでしょうね。駐車場が二か所もありましたし、そっち側の入口は表札が存在しました)
尋常ではない鰻重
さてお待たせしました。ようやく本編… じゃなくて本店突入です。
鰻重を頼むと、アツアツの鰻ちゃわんむしが迎えてくれます。ウナギが一切れ入っており、鰻屋さんらしいです。
鰻を蒸すのが得意なので、「茶わん蒸し」なのかもしれません。これを頂くと、程なくして鰻重本体が到着します。
私の場合は、注文した際にも30分待ちだと言われました。しかし偶然耳にしたご家族四人連れは、35分待ちとのことでした。
ここら辺は職人さんと仲居さんとの連携がしっかりしているようで、とても頼もしいです。
相変わらず写真が下手くそですが、「う」という文字が彫られています。これにお新香と肝吸いと、主役の鰻重が入っています。
「う」と彫られた板を外して頂き、客が自分で配膳するという仕掛けです。かなり凝っています。
凝っているといえば、ご飯にもこだわっています。
お米へのこだわり
日本人の食の基本は「米」。
おいしい鰻を食べていただくためにも「米」を選ぶと言うことを、私どもは大切に考えております。
米の美味しさは、その年の降水量、日照によって同じ土地、同じ銘柄でも変わってきます。
しま村では、その時においしく鰻を食べていただくために、各地の「コシヒカリ」を吟味して、その都度仕入れて、お客様にお出ししています。
我が家の奥さんは二合しか炊かないとか、冷凍ご飯を嫌うのですが、なんだか「しま村」さんとは気が合いそうです。
相変わらず大きな重箱です。特上の鰻が小さく見えます。そしてたしかに白い部分は、ふっくらしてツヤツヤしたお米です。
もちろん鰻の蒲焼も、大きさも相まって、ふっくらとして柔らかいです。江戸前の関東風で、一つの究極点とも言えそうです。
しかしそれだけ大きな特上ウナギなんですけど、心なしか重箱とお米の大きさの影響か、あまり大きさを感じません。相対的にバランスが取れているとも言えそうです。
さて能書きはともかく、本当に美味しいです。食べている間は、全てを忘れ去ることができます。
ちなみに今回は興味本位で、ご飯だけでも食べてみました。タレをかけてみたんですけど、かなり醤油の味がします。同じく江戸前で関東風の横浜野田岩を連想しました。
そういえば野田岩は醤油と味醂(ミリン)だけで、砂糖不使用とのことです。そしてしま村の青葉台店の時は、蒲焼の味付けから相当な甘口だと感じました。しかし実はスッキリ系なのかもしれません。
(ここら辺は店舗によって違うし、職人さんの好みによっても異なるし、通い慣れないと評価ムズカシイです)
なお川口水産では、蒲焼に塗るタレとご飯にかけるタレは別調合だそうです。もしかしたら、しま村も同じように別調合なのかもしれません。
ともかくお腹いっぱいで、今回も大満足&満腹になることが出来ました。
なお「しま村」では東急日吉アベニュー店や東急百貨店たまプラーザ店で「お持ち帰り用」を販売していますが、それらの「薄いキツネ色」とは違った焼き方です。
つまり「お持ち帰り」は「お持ち帰り蒲焼」として楽しめ、お店は「お店蒲焼」として楽しむことが出来ます。
お財布に余裕さえあれば、天然ものとか、いろいろと楽しむことが出来そうです。
まとめ
さすがは「しま村」の本店だけであって、日吉高田店はレベルが高いです。横浜でも有数のお店です。感動しました。
ただ… 冒頭のように再訪は無さそうです。
これはお店が悪いのではなくて、店舗の場所が原因です。
まず横浜駅はおろか日吉駅からも離れており、「辺鄙な場所」です。友人のような鰻好きならばともかく、私のような初心者レベルだと、わざわざ何度も行く時間が惜しくなります。
それから高級住宅街のど真ん中なので、客層が私向きじゃありません。
「ここのレディース御前は、安い方が平日しかやっていないわ。でも高い方は休日でもオーダー可能なの」といった、若いお嬢さんのコメントを耳にしました。
私の場合は「おうちウナギ」の美味しさを上げる秘訣を探して、このところ鰻専門店を訪問しています。ハッキリ言って、分不相応で予算オーバーな店舗訪問です。
あと養殖鰻の蒲焼という基本部分であれば、同じ「しま村」の青葉台店でも十分なレベルだと分かりました。実は本日も、青葉台店を横目に見ながらやって来ました。串焼きとか天然鰻に手を出さない限り、青葉台店で十分に間に合います。
という次第で、大いに感動した横浜日吉高田本店なんですけど、再び訪れることは無さそうです。
私が横浜市民で日吉近辺に住んでいたら、自転車で訪問するのも一案かもしれないですけど。
それでは今回は、この辺で。ではまた。
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記事作成:よつばせい