雑記

作家になることは簡単だけど、人気作家にならないとダメな理由

作家は大変な職業

作家になりたいと思っている人には、耳の痛いことを書きます。

そもそも作家になるのは難しいことではありません。

人気作家の百田尚樹先生も指摘しているように、人気作家になることが大変なのです。

そして人気作家にならないことには、生活費を得ることが出来ません。印税でのんびりした暮らしなど、夢のまた夢です。

今回はKindle出版も含めて、厳しい現実を紹介させて頂くことにします。

誰でも作家

作家になることは簡単です。

何しろ物語を書けば良いのです。

私も先日、星新一先生を真似てショートショートを1本書いてみました。

3,000文字くらいですけど、だいたい2時間くらいで書くことが出来ました。ストーリーを考えるのに必要としたのは5分です。

続けて3本ほど書いてみました。そういえば私、会社に入った頃に原稿用紙30枚くらいの物語を書いたこともあります。

ほら、もう私も「作家」と名乗って良いと思いませんか?

「すごい!」と思って下さったら、本当に恐縮です。実は職場の企画部門の担当者だったら、誰でも出来ることです。

ビジネスで企画書を作成するのって、結局は物語を作るようなものです。作法が決まっていて、そのパターンに従えば良いのです。

例えば「こんなことで困っていて(起)、困っていることを追いかけて(承)、いよいよピンチになって(転)、でも土壇場で何とかできた(結)」とか、書けることなど決まっているのです。

推理小説であらゆるトリックが考案されつくされているように、小説のストーリーだってパターンは全て研究されています。

年を取れば私のように経験も蓄積されるので、どのようなパターンを選ぶかといった「選択」の話になって来ます。

だから小説を書くことなど、その気になれば誰でも出来るのです。大半の人は「大変そう」と思って、その気になれないだけです。

例えば我が家のお嬢様は本日16時に帰宅し、20時になって宿題を始めました。それも奥さまが注意して、それを聞いた私が怒鳴りだしたからです。

彼女も宿題が大変だという思いだけが膨らんで、「ともかく手を動かそう」という気になれないのです。

確かに「大変そう」というイメージの壁を破るのは大変だと思います。ただし世の中には私のように「大変だ」と思わない人も存在します。

おそらくここまで読んで下さった方は、「そんなことなら私にも出来る!」と思われるような気がします。

その通りです。学校で作文の宿題を提出できたのだから、ある意味でもう私たちは「作家」なのです。

必要な販売部数

さて作家になることが簡単だということは、既にお分かり頂けたかと思います。

作家として生活する上で本質的となる問題は、「売れる作品を書けるか」なのです。

何しろ書くだけならば簡単なので、作家志望の人は山のように存在します。誰もが似たような作品を書いてます。

そして出版社に赤字経営は許されません。ブラック企業とならずに健全な黒字経営をする必要があります。

そうすると「この人の作品をぜひ出版しよう」というものが限られてしまうのです。

何しろ印刷して販売する訳です。おまけに既に山のような冊数の本が出版され、古本屋も沢山存在します。

しかし作家は、それでは困ります。

苦労して作品を仕上げて一万部ほど売れたと仮定しましょう。

1,000円の本で印税が15%だったら、一冊当たり150円です。一万部で150万円です。

頑張って毎月一冊のペースで書くことが出来たら、1年で1,800万円です。そこから税金とか、取材費とか、諸経費が引かれて行きます。

普通に働いているサラリーマン並みの給料になります。

それも「毎月一冊」と仮定した場合です。

そんなペースで書いている作家、いったいどれだけ存在するでしょうか。そして他の作家の新作が次々と登場するので、あっという間に売れ行きは落ちます。

だから日本で五本指に入るような人気作家でさえ、「印税生活など夢のまた夢」とボヤくのです。「スランプ」だとか「腱鞘炎」という恐ろしい存在も待ち受けています。

この話を知って、それでも作家生活を送りたいと思いますか。常識のある人なら、この段階で思い留まります。

だから有名な賞を取った人でさえ、作家の道を選ぶ人は多くないのです。

ちなみに最近では多品種少量生産が可能になっているので、1万部でも売れれば出版社は万々歳です。ブラックになれば、そういう人を食いつぶすという選択肢もあるでしょう。

でも良識ある出版社ならば、一万部くらいしか売れないような作家さんだったら、デビューすることはオススメしません。

だから作家になるというのは、「狭き門」となるのです。

ちなみに先ほどから例に上げさせて頂いている百田尚樹先生ですが、現在はミステリ小説を書き終えて、三回目の見直しを実施中とのことです。

ベストセラーを出すためには、才能ある作家が精魂を傾けて頑張る必要があるのです。実に厳しい世界です。

Kindle出版も大変

それに作家にとっては、恐ろしい脅威が存在します。

まずは比較的やっかいではない存在として、Kindleのような電子書籍が存在します。

いや電子書籍というよりも、「マンガ」が脅威だと言った方が良いでしょうか。

紙の印刷物は部数減少していますが、電子書籍も加えるとプラス方向に販売部数が増えています。ただしその売上拡大に貢献しているのは、「マンガ」なのです。

実際にKindle本を扱ってみると分かりますけど、Amazonで出版できるのは嬉しいものです。しかし有名な著者の作品か、面白いテーマ(ビジネス技法など)でないとKindle本でさえ売れません。

だいたい今のところ、電子書籍は紙書籍の1/4程度の売れ行きでしょうか。それだけの部数を、多くの著者たちが奪い合うのです。

ちなみに日本でKindle出版部数が一万部を越える作品は、数えるほどしか存在しません。全世界では100万部を越えると「殿堂入り」しますけど、それは「全ての作品の総販売部数」でカウントされています。それで10名を越える程度です。(2020年10月時点)

だって… 日本語で書いた場合、それを読む日本人の人数は限られています。限られた人が限られた時間の中で読書するので、1年間で日本人に読まれる本の部数には限度があります。

おまけに… 電子書籍よりも恐ろしいものが存在します。それがブログだとかYoutubeだとかTwitterなどの SNS (ソーシャル・ネットワーク・サービス) です。

これらは無料で購読できるものが多いです。そういった無料サービス(当記事も該当しますかね?)に、作家の売上は食われてしまっているのです。

だから作家も大変であれば、出版社も大変です。おまけに少子高齢化で、そもそも日本語の活字を読む人間の絶対数も減っています。

私など、むしろ英語で小説を書いてみようかと考えた時期もあった程です。

まとめ

以上のような理由で、作家になることは簡単だと言えます。(ここに「作家」も存在します)

しかし人気作家となって、作品で生活費を得ていくのは、絶望的なほど大変です。

おまけに湘南文庫のように、「だったらアマチュアとして楽しくKindle出版を!」といったような競争相手も存在します。

これでも立派に作家だと言えるでしょう。

もしもあなたが作家になりたいと思ってアクセスして下さったのであれば、慎重に考えてみることをオススメしたいです。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:よつばせい