書評

「雑談力」は、小論文の作成方法の指導にも使える本格書

この本はスピーチ、論文、小説など、全ての「お話し」のストーリー作成技法と、実際の話し方を紹介した本です。

元放送作家にしてベストセラー作家が惜しみなくノウハウを公開しており、おそろしく役に立ちます。

指導された通りにできれば、私のブログ記事なども一気にアクセス倍増です。

今回は「雑談力」が、どんな本なのかを紹介させていただくことにします。

基本的な雑談技法の紹介

まず私がこの本を紹介させて頂くことにしたのは、自分が身に付けたいと思ったからです。

内容は幾つかのパートで構成されています。読者は初心者から中級者を意識したもので、自分が出来そうなことから身に付けていくスタイルです。

初心者向けには、ストーリーの作り方から紹介されています。だからベストセラー作家である百田尚樹先生の、小説作法も学ぶことができます。

具体例も豊富です。それがわずがな出費で済むのですから、大変に助かる本です。

そしてストーリーが作れるようになった者には、実際の話し方を紹介しています。

ちなみに初歩の初歩として、次の6つが重要とのことです。

  • 起承転結が基本
  • 質問から入る
  • 常識を覆すような話から入る
  • 失敗談ほど面白いものはない
  • 相手でなく、自分が関心を持つ話題を探せ
  • 人を楽しませる気持ちが大切

今日もツイッターでは、次のようなツイートが流れて来ました。

「ブログをやるなら、自分が書きたいことじゃなくて、読者が興味があることを書こう。YouTubeをやるなら、自分が喋りたいことじゃなくて、視聴者が興味があることを喋ろう。たったこれだけで反応全然変わるから。そして影響力を手に入れて、お金や時間の余裕がうまれたら、思う存分好きなことをやろう。」

これ、その通りだけれども、それは違うというところでしょうか。

ちなみに百田尚樹先生のデビュー作は、戦時中のゼロ戦に関する「永遠の0」です。本人に言わせると、「自分が書きたいこと」です。

私もブログは誰かに読んで貰いたいという下心がある訳ですが、「自分が書きたいこと」を書いています。

なお上記のツイートもブログアクセス増加を目指している人なので、私たちに言わせると「自分の書きたいこと(自分の紹介したいこと)」かと思います。その「自分の書きたいこと」を、読者が楽しめるように仕上げる訳です。

会社で上から指示が降りて来たことを調査したり企画しても、面白くないですね。でも私などは上手に好奇心やプライドを突かれると、ムキになるというか、それこそ寝食を忘れるほど頑張ってしまう訳です。つまり「モチベーションも重要」ということです。

こういった話が具体例を交えて紹介されている訳です。

もはやその説明自体が「雑談」であり、ぐいぐいと引き込まれて読んでしまいます。さすがはベストセラー作家といったところでしょうか。

書評で練習

そして「雑談」なのですが、百田尚樹先生は映画評や書評を書いてみたり、語って見たりすることを勧めています。

雑談、すなわちスピーチなどでは、「話の構成がハッキリしていて、それが他人に伝わること」が大切なのだそうです。

(だから副題に「ストーリーで人を楽しませる」と付けられている気がしています)

百田先生は、知っている人が多くて有名そうな映画である「七人の侍」を例に挙げています。彼ならば、だらだらと何が紹介されたかを語るのではなく、次のように冒頭で紹介するとのことです。

「この映画は、戦国時代に貧しい百姓のために立ち上がった無名の七人の侍たちの物語です。その戦は、、たとえ勝ったところで、何の恩賞ももらえず、立身出世にもなりません。にもかかわらず、七人の侍たちは百姓のために命をかけて戦います。しかし相手は野武士とはいえ元は武士の集団です。壮絶な戦いが何度も繰り広げられ、侍たちも次々に斃れていきます。そしてついに激しい雨の中、最後の決戦の時がやってきます---」

そもそもどうして野武士と七人の侍の戦いになるかが語られていませんけど、これだけの説明で雰囲気や緊迫感は伝わってきます。こういう具体的な練習方法や注意事項までキチンと書かれているのが、本書のすごいところです。

もちろんPHP新書なので、文章量は多くないです。アッサリと読み進めることができます。しかし書かれている一行一行が、実に役に立つのです。

事実の追及

先ほど文章量は少ないとコメントしましたけど、この本は単なる雑談力の向上指導で終わっていません。目次は次のような章立てになっています。

  • 第一章:人引きつける話をする技術
  • 第二章:その気になれば、誰でも雑談上手になれる
  • 第三章:こんな話に人は夢中になる
  • 第四章:親友とする真面目な話

この第四章がクセものです。もはや雑談ではありません。

そこでは新聞記事なども例として取り上げて、いかにTVや雑誌が偏った報道をし、人がそれに流されることがあるかを紹介しています。

そうです。雑談力が伸びることにより、もっともらしく話をすることも出来るようになります。スピーチや記事作成の第一人者たちが悪意(というか、偏った信念)を持つと、おそろしい結果を引き起こすことになると警鐘を鳴らしています。

「殺害された市民の数は、全人口より多い?」など、目から鱗が飛び出るような具体例が、幾つも紹介されています。

私も会社で企画部門ですが、今日も上層部の方から「適切な社内情報展開をするため、事前に部長了解が必要」との注意アナウンスが流れて来ています。

まあ会社だから検閲だとか物騒な話にはなりませんけれども、他人に情報を伝える時に必要となる心構えが紹介されています。

これは他書ではお目にかかったことが無い、貴重な知見と情報です。

したがって私としては、機会があったら実際に読んでみることをオススメしたく感じる訳です。

まとめ

百田尚樹先生の「雑談力」という本は、もしかしたら彼の隠れた名著と呼べれるかもしれません。ストーリー作成方法や話術だけでなく、それらを駆使する際に接する情報の認識方法にまで踏み込んで紹介しています。

現代人が生きて行く上での教科書と呼んでも構わないかもしれません。それで今回は唐突ですが、わざわざ「雑談力」を紹介する記事を作成した訳です。

現在ではAI(人工知能)が注目を浴びていたりしますが、私たちにとって雑談力は引き続き重要なテーマだと思います。

とりあえず今回は自己流にサクっと紹介してみましたが、少しでもお役にたつ部分があれば幸いです。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:よつばせい